徒然 アル・ライズ、ローラ・ライズ / ブランドは広告でつくれない

音楽鑑賞記録や読書メモ・感想文、パソコン関係などを徒然なるままに綴ってゆきます。

アル・ライズ、ローラ・ライズ / ブランドは広告でつくれない

原題は「The Fall of Advertising & The Rise pf PR(広告の衰退とPRの台頭)」ですが、決して広告を否定した内容ではありません。広告とPRの性質の違い、役割を明らかにしたものです。

ところが、現状では、闇雲に広告費に多大な出費し、あまり効果の出ていない企業があまりにも多いので、このようなタイトルになったのだろう、と思わされます。

本書のほとんどは「広告のみで失敗した例」「PRを上手く活用した成功例」の記述となっており、論点はタイトルと目次、そして「はじめに」さえ読めば理解できるようになっています。

逆に言えば、どれだけマーケティング理論をかざしても、なかなか理解が得られないので、このような構成、そしてタイトルになったのかも知れません。

最初に、キーワードとなる言葉の意味を確認しておくと、

広告


広告(こうこく)は宣伝活動の一つで、放送新聞雑誌などのマスメディア鉄道駅鉄道車両バスといった交通機関の施設や、インターネット上などにあらかじめ用意されているスペースや時間枠といったメディアを広告主が買い、広告主が宣伝のためにあらかじめ作成したコンテンツを通じて情報を宣伝する、という形態の活動である。

広告は枠を広告主が買う形態なので、広告の出稿、宣伝する時期、内容、規模その他を広告主側がコントロールすることができる。ただ、広告主となる企業が数多く、メディアも種類が沢山ある。そのためきちんとした広告活動をする事が難しい時もある。それを防ぐため広告主とメディア双方から手続きの権限を委ねられ、仲立ちをするのが広告代理店である。広告主、広告代理店双方の利害関係により、広告主の宣伝活動に最初から広告代理店が絡んでくる事も珍しくない。

当初は視覚に訴える広告がメインだったが、メディアの発達に伴い聴覚に訴える広告も登場した。現在、新聞テレビコマーシャル)、野立て看板などの視覚に訴えるもの、ラジオなどの聴覚に訴えるものがほとんどだが、USAトゥデイなど嗅覚に訴える広告も登場した。

広告 - Wikipedia)より

PR


Public Relationsの略称。

一般的に言って、Public Relationsの定義には、ステレオタイプと、一般的な理解と、本来の定義の3種類がある。

    • 一般的な理解
      • 組織/個人がパブリックに働きかけることによって、パブリックの意見や行動を変え、組織/個人の意見・思想・立場・視点を理解させる/広めることを目的にした活動のこと。
          • ここで言うパブリックとは、組織/個人にとってのすべてのターゲットとなる人々をきっちりセグメントした上で設定するべきだが、しばしばこれを「一般市民」とか「一般大衆」など実態のない定義にしてしまい、砂漠に水を撒くようなPRをやってるケースがざらにある。
          • また、「PRをやっている組織」の中にも、この一般的な理解のPRを受動的にのみ行っていて、能動的活動のないものも多く見られる。
    • 本来の定義
      • 組織とそのパブリックの間に、双方の利益をめざして、双方向のコミュニケーション(two-way communication)を維持するすべての活動。上の”一般的理解”で述べた組織→publicのコミュニケーションフローと並行し、public→組織のフローを確保し、パブリックとのコミュニケーションを通じて、組織の意見や行動“も”修正/順応することを含む。
      • Public Relations is the management function that establishes and maintains mutually beneficial relationships between an organization and the publics on whom its success or failure depends. (Cutlip, S.M., Center, A.H., & Broom, G.M. (2000). Effective Public Relations (8th ed.).Upper Saddle River, NJ: Prentice-Hall, Inc.)

パブリシティ


パブリシティとは企業PR活動の一つである。

フリーパブリシティ広告とは異なりマスメディアに対して企業側(スポンサー)が代金を払わない活動である。

プレスリリース配布や記者会見を行い、新聞テレビの中のニュース報道されるものである。これはニュースパブリシティといわれる。必ずしもメディアに取り上げられるとは限らない。取捨選択はメディア側が行うのである。

その他、サービス・パブリシティ、経済パブリシティ、製品パブリシティ、ラジオ・テレビ・パブリシティがある。

ペイドパブリシティはメディア側に代金を払いPR活動を行う。記事広告やタイアップなどである。

ブランド


ブランド(英:brand)とは、あるサービスを、他の同カテゴリーの財やサービスと区別するためのあらゆる概念。当該財サービス(それらに関してのあらゆる情報発信点を含む)と消費者の接触点(タッチポイントまたはコンタクトポイント)で接する当該財サービスのあらゆる角度からの情報と、それらを伝達するメディア特性、消費者の経験、意思思想なども加味され、結果として消費者の中で当該財サービスに対して出来上がるイメージ総体。

それが現在のブランドの概念と言える。ブランドを冠して財やサービスを提供する側の意思を端的に表現するものとして、文字図形で具体的に表現された商標を使用することが多い。さらに狭義には、ファッション分野での高級品イメージのついた一部メーカー及び商品群を指す(「ブランド物」)。従来はマーケティングの世界の用語であったが、地域自体やその名称をブランドと考える「地域ブランド」も近年提唱されており、その概念は広がりを見せている。




では、この本で述べられていることはなにか。「はじめに」から以下の文を引用します。
 そもそも広告によって新しいブランドを市場に出すことはできないのである。なぜなら、広告は信頼性(クレディビリティ)が欠如しているからだ。広告は商品を売り上げるための企業の自己宣伝にすぎないと思われている。
 新ブランドを市場に投入するには、パブリシティやPR(パブリック・リレーションズ)だけで十分に可能だ。PRはメディアを中心とした第三者の目を通して、ブランドのストーリーを間接的に伝達することを可能にする。
 PRには信頼性があるが、広告にはない。

(中略)

 私たちはクライアントから助言を求められる時、どんなマーケティング・キャンペーンもまずパブリシティから始めて、PR活動の目的が達成された後、初めて、広告に移行するようにと勧めている。これは、広告文かに感化された企業幹部の人々にとって、革命的な考え方と言える。すでに理解されている方々にとっては、マーケティングの考え方を自然に進化させたものにすぎない。

(中略)

 そうはいっても、一連のキャンペーンで広告展開を軽んじてよいというわけではない。広告は強力なブランドのためだけに、広告キャンペーンが要求する条件に応じられる企業だけが行うべきなのだ。

(中略)

 これだけ広告があふれているのに、広告は死んだということがありえようか、どこを見回しても広告だらけではないか、との疑問が浮かぶ。
 広告は絵画と同じだと考えるとよい。絵画もいま、かつてないほどの人気があるが、実は死んでいる。絵画の「死」は、現実を写し再現するという役割の死である。ルイ・ジャック・マンデ・ダゲール・が銀板写真法を発明した後の数年は、"絵画の衰退と写真の台頭"と呼ばれただろう。同じ意味で、広告もブランド構築ツールとしての機能を失い、アート(芸術)として存続しているのである。
 だからと言って、広告には価値がないということではない。アートの価値は、鑑賞する人が主観的に判断するものだ。機能性がアートへと進むということは、機能が消滅し、それまでのように機能の価値が客観的に評価されなくなる、というだけの話である。

(中略)

 どんな芸術作品にも熱狂的な愛好家がいる。彼らは、個々の芸術作品について精力的に議論するが、それはその価値を測る客観的な尺度がないからだ。

 広告にもこれと同じパターンがあてはまる。広告を推奨する人たちは、広告がブランド価値を高めたり、構築したり、あるいは消費者との感情的な絆を作ったり、営業部隊にやる気を起こさせるといったことを根拠にして、情感をもって広告を弁護する。
 これらはすべて、ある程度までは正しい。しかし広告はアートであるため、客観的には評価ができない。広告はコミュニケーションという機能をもはや失ってしまったからだ。

(中略)

 広告の目的はブランドを構築することではなく、防衛することにある。おもにPRや第三者のお墨付きなど広告以外の手段によって構築されたブランドを防衛することである。

(中略)

 ブランドの構築と防衛、この二つはマーケティング・キャンペーンの重要な役割だ。PRがブランドを創り、広告がブランドを防衛する。皮肉なことに、広告関係者はブランド構築作業の方に非常に多くの時間と勢力をとられていて、もう一方の防衛のためのマーケティング戦争には情熱を傾ける余裕がないことが多い。

(中略)

広告によるブランド防衛は、その認識の核となる価値を再認識するものでなくてはならない。消費者心理に共鳴する広告でなくてはならない。消費者に「このブランドが、ブランドたる理由はまさにこれだ!」と思ってもらわなくてはならないのだ。
 つまり、ブランドがひとたび消費者の認識となったなら、クリエイティビティはブランドには不要になる。
 クリエイティビティはむしろPRに必要とされる。PRこそ、新しく今までにはないものでなくてはならない。PRにこそ独創性が必要だ。ブランド構築の最善の方法は、新しい市場カテゴリーを創ることである。そして新しいカテゴリーを作り出す時に必要なのが、とびっきりのクリエイティビティ思考だ。このような考え方は、従来の考え方に反するという点で革命的な発想だ。

(中略)

 いったい誰が聞いたこともないブランド・メッセージに注目するだろうか。そのような広告メッセージに信頼性があるだろうか。

(中略)

 一方(中略)パブリシティは、広告に信頼性を与える保証書のようなものだ。新ブランドが信頼を得られるまでは、その広告は無視されるだろう。
 ブランド構築の成功しようと考えるなら、PRと広告をきちんと使いこなすことだ。一般的なルールは、パブリシティのあらゆる可能性を試した後でなければ、広告は絶対に使用するなということだ。

 広告ではブランドを構築できないが、パブリシティはできる。広告はパブリシティが創ったブランドを維持できるだけだ。
 実のところ、広告では火を起こすことはできないのだ。起こされた火を煽るだけだ。無から何かを動かすには人を納得させるものが必要で、それができるのは第三者による推薦・保証だけだ。どんなキャンペーンでも第一段階においては、PRをつかうべきなのだ。

(中略)

 マーケティングは、いまやPRの時代を迎えている。
 通信網が発達し、情報過多となった現代、企業から一方的に押し付けられる広告は、確固たるブランド構築に成功したもの以外は、どんなに芸術性の高いものであっても、コミュニケーションという機能を失い、信頼性の低いものと認識されている。だから、まず始めに、メディアで報道される記事や口コミなど、第三者の推薦・保証によって、消費者の信頼を得て、その後にブランド維持のために広告を使うべきである、ということですね。



    • 日本語版への序文
    • はじめに

  • 第1部 広告の衰退
    • 第1章 広告とセールスマン
    • 第2章 広告とアート
    • 第3章 広告とクリエイティビティ
    • 第4章 広告と広告費
    • 第5章 広告とブランド認知度
    • 第6章 広告と売上
    • 第7章 広告とドットコム企業
    • 第8章 広告と信頼性
    • 第9章 新しい媒体を求めて

  • 第2部 PRの台頭
    • 第10章 第三者の力
    • 第11章 PRで新ブランドを構築する
    • 第12章 PRで既存ブランドを再構築する
    • 第13章 信認を獲得する
    • 第14章 ブランドを世に送り出す
    • 第15章 教育関係のブランド構築
    • 第16章 観光地のブランド構築
    • 第17章 酒類のブランド構築
    • 第18章 PRを左右するスポークスパーソン
    • 第19章 ライン・エクステンションについて
    • 第20章 ネーミング

  • 第3部 広告の新しい役割
    • 第21章 PRがブランド構築、広告が維持
    • 第22章 路線を踏みはずさない
    • 第23章 全機能を稼動させる

  • 第4部 広告とPR――その違い――
    • 第1章 広告は北風、PRは太陽
    • 第2章 広告は立体的、PRは直線的
    • 第3章 広告はビッグバン、PRはスロービルディング
    • 第4章 広告は映像、PRは言葉
    • 第5章 広告は誰にでも、PRはキーパーソンに
    • 第6章 広告は自己管理型、PRは他者依存型
    • 第7章 広告は短命、PRは長寿
    • 第8章 広告は高価、PRは安価
    • 第9章 広告はライン・エクステンション、PRは新ブランド
    • 第10章 広告は既存ブランド向き、PRは新ブランド向き
    • 第11章 広告はおかしく、PRはまじめ
    • 第12章 広告は非創造的、PRは創造的
    • 第13章 広告は信頼されない、PRは信頼できる
    • 第14章 広告はブランド維持、PRはブランド構築

  • 第5部 あとがき
    • マネジメントの方々へ
    • 広告業の方々へ
    • PR界の方々へ
    • 監修者あとがき












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