徒然 辻秀一 / スラムダンク勝利学

音楽鑑賞記録や読書メモ・感想文、パソコン関係などを徒然なるままに綴ってゆきます。

辻秀一 / スラムダンク勝利学

スラムダンク
 漫画『スラムダンク』の様々な場面を例に、成功哲学が展開されています。著者はスポーツドクターの辻秀一さんです。

『スラムダンク』は読んだことないのですが、漫画の該当箇所が掲載されているので、分かりやすく、読みやすいと思いました。
 スポーツ選手に限らず、人生のあらゆる面で参考になる、前向きな言葉がこの一冊の中に沢山納まっています。

 本書では、「意識」「下意識」「セルフイメージ」の3要素のうち、セルフイメージをいかに高めるかが詳述されています。

「意識」とは、物事を初めて学習する時のスタート地点、例えば、初心者がランニングシュートをマスターするために「一歩、二歩」と数えながら練習するレベルです。
「下意識」とは、いわゆる実力、自分らしさのことで、「一歩、二歩」と意識しなくても自然にランニングシュートが出来る状態です。
 そしてこの下意識が本番で発揮されるかどうかを左右するのが「セルフイメージ」です。

 下意識は練習の質と量によって培われ、セルフイメージは日頃の生き方・考え方によって決まる、と指摘されています。一流選手といわれる人たちが、練習以外の時間を大切にしているのも、納得のゆくところです。

 図示すると、こうなります。

  意 識  

     練習(質と量)     日頃の生き方・考え方

 下 意 識   セルフイメージ
試合における
実力発揮
 大事なことは、「現在」の一瞬一瞬の「自分」を大切にし、あきらめず、「全力を尽くす」習慣を身につけよ、ということでしょう。
 また、原因に応じた結果が返ってくる、人に与えれば良きも悪きも自分に戻ってくる、というのも真実だと思いました。

“全力を尽くす”ということが必要だとすれば、日頃からその考え方を習慣化しなければ、試合で実践できるはずがありません。試合前に「全力でぶつかろう」と言ったところで、それは普段やっていないことをしようと言っているようなものです。
(P.8)
 一流の選手になればなるほど、ただ「勝ちたい」「優勝したい」などの漠然とした結果だけを追い求めていくのではなく、勝利を手にするために必要な、それにふさわしい自らの変化をいつも求めているのです。従って変化を感じる能力、変化を楽しむ能力こそが、追い求める結果を手に入れるために必要となってくるということです。つまり変化の集大成が結果につながるということを、よく理解しなければなりません。
 たとえ勝てなかったとしても「優勝できなかった」と嘆くのではなく、優勝するためにふさわしい変化をしたのかどうかという点について振り返ってみてください。結果は勝とうが負けようが過ぎ去り、消えていってしまいますが、変化は残るのです。たとえ負けても、その試合でどう変化したのか、何を学んだのかということを大切にして戦ってください。
(P.28)
目標や結果をただ追うのではなく“変化”を大切にするという意識を持つと同時に、そのために“するべき事”をするのだということをはっきりと意識しなければならないのです。この意識するということこそが、この本を通して皆さんに訴えたいことの一つでもあります。
 ただし、これは普段から実行していなければ、試合の緊迫した場面で“するべき事”をするということに集中などできるはずがありません。
(P.38)
“今に生きる”ことに全力を尽くせ
(中略)
 セルフイメージと言うのは、我々の意識が今でなく過去や未来に飛んでいるとその影響を簡単に受けてしまうのです。そう、スポーツマンの大半は自分がプレーをしているとき、過去や未来のことを考えているのです。例えば「さっきのシュートを外さなければ……」とか「ああしておけばよかった」などの過去に対する後悔に時間を注いでいる場合が多いのです。そうするとセルフイメージは過去と現在の区別ができなくなり、そのようなネガティブな過去の意識が現在のセルフイメージを縮小させ、どんなに実力があってもそのとき(今)のシュートを外してしまうことにつながるのです。それと同時に、我々はその思考の大半を、未来への不安にも割いています。「このシュートは入るのだろうか」「この試合は勝てるのだろうか」「体力がもつのだろうか」などと考えながらプレーをしているのです。
(中略)
 ではどうすればセルフイメージを大きく保ち、実力を発揮できるのでしょうか?それは常に“今に生きる”という意識を持つことです。
(P.43)
セルフイメージには“ミラー(鏡)の法則”が存在し、それが当てはまるということです。言い換えれば、鏡のような特徴があるということです。他人や周囲の環境に対しては文句を言ったり、愚痴ったり、悪口を言ってしまうと、セルフイメージには自分と他人の区別ができず鏡のように自分に跳ね返ってくるという法則があるので、他人に対して向けられたマイナスイメージの事柄によって、自身のセルフイメージも縮小させてしまうのです。
 自分自身には決して言わない、あるいは行動しないような内容の言動を他人にぶつけるというようなことは、一流の勝利者にはまったくありません。彼らはそれらの言動が自らの首を絞めるということを知っており、ひいてはその言動によりセルフイメージが縮小し、自分の力が発揮されなくなるということを学んでいるからです。
(P.49)
良いところを見るという能力自体もつけなければなりません。なぜなら、自分たちの良いところを相手が出させないようにしてくるのが試合というものだからです。そんな中でも常に自分たちの良いところを見つけ出せる能力は、とても大切になってくるのです。
(中略)
 良いところを見る能力は、他人を褒める能力にも通じるものがあります。ただ、おだてるのではなく、本当に褒めるには良いところを見る能力が必要なのです。悪いところを矯正するよりも、良いところを伸ばすほうが同じ労力でも楽しいでしょうし、当然選手も積極的に取り組むこともできるでしょう。従ってその過程で行う努力から生じるセルフイメージも自然とおおきくなります。そして、そこから生じる結果も、よりよいものにつながっていくのです。
(P.56)
“ベスト”を尽くすのではなく“全力”を尽くせ
 セルフイメージを大きくするための最も大切な心の習慣に“全力を尽くす”というものがあります。私は“ベストを尽くす”という言葉はよい表現ではないと考えています。なぜなら“ベスト”という言葉はあくまで結果であるからです。従って「ベストを尽くす」と言っている人には、その分いつもプレッシャーや不安な要素が存在していることになります。ですから一流選手の心の習慣として、“全力を尽くす”という自分の努力次第でできるところに重きを置きたいものです。それは試合だけでなく、どんなことにも全力を尽くして、それを結果としてベストにしていくようにすることが大切なのです。
 そのためには、セルフイメージを高めるために、日常あらゆることに全力を尽くす心の習慣を身につけなければなりません。普段からその習慣がない選手が、バスケットボールのときだけ全力を尽くそうとするのは、いつもと違うことを意識の中ですることになるので、結局ミスをおかしてしまったりより疲労してしまうことになるのです。
(P.71)
“情熱”の伴わない目標など実現しません。単に目標だけでは、遠い行き先だけが存在するようなものです。私は目標に“情熱”が注がれることでそれが初めて“ビジョン”になると思っています。“ビジョン”とは現在位置と行き先(目標)を結び付けてくれる道のりのようなものです。いくら目標があっても、そこへ通じる道のりがなければ到達できません。だからこそ、“情熱”が必要なのです。道があるからこそ、目標達成に向けていろいろなことを推進していくことができるようになるのです。
“情熱”が大きければ大きいほど、ビジョンという道のりはより太くなっていき、目標達成への可能性もより高まることでしょう。
(P.79)
 目標達成によって手に入るものとは具体的には、感動する、自信がつく、誇りである、ホッとする、喜ぶ、など精神的なものが重要です。物質的なもの(例・お金や金メダル)よりも精神的なものをしっかり考えている選手のほうがはるかに情熱の大きいことに気付きます。物質的なものの獲得は、その時点で満足されてしまいがちですが、精神的なものをイメージできる者は、そのことが再び次への挑戦と情熱につながっていきます。
(P.80)
wrong ではなく different で
 なぜ“怒り”の感情が生じるのか考えてみましょう。
 例えば、人ごみの中で、あなたがすごく急いでいるときに、あなたの前をゆっくりとペチャクチャしゃべりながら歩いている女子高生たちがいたとします。あなたは心の中で「もっと速く歩けよ」と頭にきている、すなわち、“怒り”の感情が湧き上がっています。これはなぜかと言えば「急いで歩く自分が正しくて、ゆっくり歩いている女子高生は間違っている」という理性が“怒り”の感情を起こしている結果なのです。“怒り”の感情のほとんどはこのプロセスから来ます。「自分が正しく、そうでないものは間違いである」。(中略)
 しかし“怒り”の感情はセルフイメージを縮小し、プレーに支障を来すことになることを、忘れてはなりません。急いでいるあなたが正しいのではなく、また、ゆっくり歩いている女子高校生たちが間違っているのではない。たまたまあなたと女子高校生は違うだけなのです。○か×かではなく、△か□の違いなのです。英語でいえば、wrong ではなく different で人や事実を見ていかなければならないということなのです。こう理解することで、無意識な“怒り”の感情はかなりコントロールされるはずです。(中略)
「変わってほしい」とディスカッションするのはよいでしょうが、変わらない環境や相手に対し感情的に“怒り”をぶつけても結局、損をするのはあなたなのです。“怒り”は理性が作る感情ですので、コントロールできるはずです。それが一流選手の条件。
(P.100)
一流選手の思考の条件として、結果よりも変化を重要視するというものがあります。つまり変化の集大成が結果として表れてくるということです。変化を感じる能力、変化を意識する能力、変化から学べる能力、変化を楽しめる能力があってこそ、結果は後から付いてくるのです。
(P.106)
いくつかの正しい心の習慣と正反対にあるのが、あきらめの思考です。これはセルフイメージを縮小させるもので、全力を尽くすという思考に反することになります。なぜなら、あきらめた瞬間に全力を尽くせなくなるからです。その結果、あなたの目指す結果はますます逃げていくことになります。また、結果を重要視した瞬間にも、あきらめの思考がやってきます。「もう、だめだ」とか「やっぱり勝てない」などと考えることは、変化よりも結果ばかりを追いかけている証拠です。変化を重要視し、そこから学ぼうということを目標にしている選手は、あきらめるはずがありません。終わる瞬間まで変化はあるでしょうし、学ぶこともできるからです。あきらめの思考こそ、結果重視という並の発想、また、今に生きる、今するべきことをするという大原則に反するものであることが分かるでしょう。
(P.107)
 セルフイメージを縮小させる最悪の思考の一つが比較思考です。他人との比較、理想との比較、過去のよい頃との比較など、我々は安易に、そして数限りないものとの比較思考を行ってしまっています。この思考癖がいざというときに不安や緊張を呼び込み、セルフイメージを小さくさせ、結局、実力がでなくなることになります。日頃から比較癖をなくし、常に自分自身に目を向け、今するべきことに集中して全力を尽くす心の習慣を築き上げることこそが、一流への思考法になるのです。
(P.113)
自信とは自分を信じると書きます。自分の今できることを信じる、自分の良さを信じることなどが真の自信です。(中略)
 また、結果を信じるということも忘れてはならないことです。自分にふさわしい結果を信じるのです。ジタバタするのではなく、結果は決まっていると信じ、今するべきことに集中するのです。これらのように自信の原点は信じる力。この力を日頃から、ぜひ養ってください。この力がつけば不安を招く機会は、また減るはずです。
(P.115)
では、自分のいったい何を信じるのか? 考えてみたことありますか? それは自分の良いところを見て、そこを信じるのです。自分の良いところを見ることは、まず信じることの始まりです。しかし、自分の良いところが何なのかを知らなければ、到底信じることなどできないでしょう。(中略)
 また、自分の良いところの枠を広げ、自分を大切にしている考え方・生き方など、一人の人間としてのあなたの信条についても明確にすることができれば、さらに自分自身についての信じる部分が増えることでしょう。
(P.118)
何事もうまくいかないのは、その途中で起こる様々な事柄のせいではなく、それをどう捉えるのか、どう結果を信じているのかによるのだということをよく知ってほしいのです。どんなに残り時間がなくても、前半の立ち上がり、どんなに離されても、ポイントゲッターがケガしたとしても、すべて予定通り。結果は決まっているのです。そのことに不安を抱き、慌てるよりも、まず「大丈夫」と言って、するべきことをすればよいのです。この言葉は結果を信じていることを己に気付かせてくれるよい言葉だと思います。ジタバタするよりまず「大丈夫」と言ってみましょう。今するべきことをすれば、それぞれにふさわしい結果は必ずついてくるのです。この言葉こそ自信の原点となるでしょう。結果は決まっている。「大丈夫」。
(P.122)
実力を発揮するには、自分だけでは不十分で、より多くの力をもらって初めて、自分の力を、より発揮できるようになるのです。よい例が応援です。応援があったほうが、普段以上に頑張れるでしょう。(高いレベルの競技者になるには観に来ている多くの観客まで、意識を広げることが課題になってきます。では、競技者として、観客にいったい何ができるのか?(中略)観客に競技者としてできることは、感動を与えるということでしょう。与えれば帰ってきます。“感動”というプラスの力を与えることができれば、何倍にもなって、あなたに力が帰ってきます。
(P.127)
与えれば、必ず自分に返ってくる
(中略)
 自分自身には決して言わない、あるいは行動しないような内容の言動を他人にぶつけるというようなことは、一流の勝利を手に入れる競技者にはあり得ません。彼らはそれらの言動が、自らの首を絞めることになるということを知っており、ひいてはその言動により自分のセルフイメージが縮小し、自分の力が本番で発揮されなくなるということを学んでいるからなのです。
 一方、自分に返ってくるというのであれば、プラスなことを与えれば、それもまた自分に返ってくるはずでしょう。プラスのことが自分に返るということは、セルフイメージの維持・拡大につながります。プラスなことの代表は、まず自分がしてほしいことを周囲にするということに他なりません。
 決しておべっかを使ったり、ゴマをするのではありません。自分が頑張って辛いときに励ましてほしいのであれば、まずは頑張っている人を励ませばよいのです。自分が良いプレーをして褒めてほしければ、まずは良いプレーをした仲間を褒めればよいのです。そのことは必ずやあなた自身にとって、実りあるものにいつかなるはずです。
(P.173)
“勝つ”とはいったい何でしょうか? “勝つ”とは、私の考えでは、「自分らしく、本番をはじめいかなるときにも実力を発揮し、そして自分にふさわしい結果を得ること」。他人より速い・遅い、高い・低い、点数が多い・少ないなどという比較の中には本当の勝敗はないと考えています。つまり、一般にいう勝敗などに一喜一憂する必要などないのです。実は結果は常に決まっているのです。そう、自分にふさわしい結果しか来ないのだと……。したがて、その結果をもたらしている「自分らしさ」への追求・努力・向上、そしてそれを「本番で発揮する」ための生き方・考え方にこそ勝利の原点があるのです。すなわち、勝つ事と負ける事は反対の関係ではなく、勝つ事と負ける事は表裏一体をなし、ともに人間を成長・向上させるためのものなのです。そのヒント、ひいては財産なのです。
(P.178)


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